"キープローザ・ダイアー"と"オーキッドナ"



"最初の遠征隊"には、様々な地位に就く人物がいます。
王子や領主の血縁など、その地位を捨てて旅をするのには、どのような理由があるのでしょうか。

ここでは、"キープローザ・ダイアー"と"オーキッドナ"の故郷、大陸の北にあるダイアー家について紹介します。
異母姉妹であるふたりの父親は誰なのか。
そしてこの後に続く姉妹の物語には、ゲーム内にも名前が登場するとある人物が関わってきます。
 

"キープローザ・ダイアー"と"オーキッドナ":もみの木の城


もみの木の女王

大陸の北方に位置する、針葉樹林の茂る高原に広がる土地には、「もみの木の城」と呼ばれる城塞があり、 周辺をを領地とするダイアー家の領主は、長い間「もみの木の王」という別称で呼ばれていた。

「もみの木の王」ジェイム・ダイアーは、北メイアとビスコニア間の8年にわたる戦争中に戦死した。
彼には息子が3人と、娘が1人いたが、長男のレイブンはわずか12歳だった。

他の領地であれば、長男のレイブンを次の領主にしようとしただろうが、領主がダイアー槍騎兵部隊を支配するここでは、そうはいかなかった。
他に擁立できる兄弟もいなかったことから、ジェイムの妻ロジアが領主の座に就いた。

ロジアは大半のダイアーの女性と同じように、基本的な戦士の訓練を受けて育ったが、領主となったロジアに求められたのは単純な戦士の資質ではなく、高名な戦士たちをまとめ上げ、尊敬を受ける指導者としての器だった。
ロジアは「もみの木の女王」に生まれ変わらなければならなかった。
そして、その通りにしてみせた。

長男のレイブンが18歳になったころ、ロジアは名実ともに「もみの木の女王」になり、幾度も戦争に勝利したことで、その名声は天に昇るほどになっていた。

苦労して家門を守り抜いた分、息子たちへの期待も大きかった。
彼女は、息子たちが優れた資質をあらわし、その座を継ぐことを願った。
一番に関心を寄せたのは、成人した長男のレイブンだった。
ロジアが息子に対して関心を寄せたのは、彼が12歳の時以来のことだ。

ロジアが領主として過ごす間、子どもたちと接する時間はほどんどといっていいほどなかった。
次男と三男、そして長女は乳母の手で育てられたため、自然とその状況を受け入れたが、母の手で育てられたレイブンはそうではなかった。
領地と槍騎兵に母を奪われ、自分の世界に籠るようになってしまったレイブンは、領主になるために必須な戦闘訓練もサボりがちになってしまった。

その間レイブンが何をして過ごしていたかを知る人はおらず、ふらふらと城外を歩き回り、ガラの悪い者たちと付き合うようになったり、時々城の人々に対し意味不明ないたずらをするなどしていた。
人々は、そんな彼を気味悪がってますます誰も近づこうとしなくなった。

ロジアがそんな彼を叱った時、最初は反抗したものの、ついには取り巻き達を引き連れて城を出て行ってしまった。
彼には妻と赤ん坊の娘がいたが、彼女たちのことは置き去りにした。

ロジアは長い間領主でいるうちに、非常に意固地になっており、彼女はレイブンを探すどころか家門から彼の名前を抹消し、その名前を口にすることを禁止した。
そして次男のシアドリックを後継者とし、そのための教育を始めた。

シアドリックはロジアの期待に応えて、見事な戦士でなおかつ領主としての資質のある人物に成長した。
そしていよいよダイアー槍騎兵を率いることができるようになった時、ロジアは安心して領主の座を退くことができると思った。
しかし、シアドリックは初めて出征した戦争で死んでしまった。
ロジアは再び「もみの木の王座」に就くことになる。
期待をかけた息子は、幼い孫を残していった。

領主の座に帰ってきたロジアは、三男のデンに厳しい教育を施した。
このころにはダイアー槍騎兵や敵だけではなく、城内の人々までロジアを恐れるようになっていた。
そうした恐れる人々の中に、息子のデンも含まれていたのは当然のことだった。
二十歳になったデンは、母の目を避けて下女と恋に落ち、家宝を持ち出して駆け落ちしてしまった。

ロジアのもとにはシアドリックの息子、そしてレイブンの娘だけが残った。
 

■キープローザの故郷での日々は、電子書籍で読むことができます。

北メイア王国の雪深い小領国「もみの城」には、雪崩(なだれ)を喚ぶという伝説の鳥「雪の鳥」が囚われていた。

「ArcheAge もみの木と鷹」シリーズ第2弾。
最初の遠征隊の一人、「キープローザ」が、デルフィナードへ旅立つまでの物語。

そのほか、原作小説全5巻についてはこちらをご覧ください。

 

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